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足がむくむ

足がむくむのはなぜ?

足がむくむのはなぜ?心臓から全身へと送り出された血液は、酸素や栄養素を各細胞へと届ける一方で、細胞から排出された二酸化炭素などの老廃物を回収しています。その中で、足に流れ込み、そこから心臓へと戻る血液は、重力に逆らって上昇します。この時にはふくらはぎの筋肉が力を発揮します。ふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれ、収縮・弛緩を繰り返すことで血液を心臓へ押し戻すポンプのような役割を果たしています。しかし、何らかの原因によって足に血液が滞ってしまうと、足がむくんでしまいます。長時間の立ち仕事や座りっぱなしの姿勢、運動不足、心臓や腎臓の病気などが原因で血流が滞ることがあります。

女性は足がむくみやすい

女性の方が男性よりも「むくみに敏感」という側面がありますが、実際に女性は男性よりも足がむくみやすいという傾向があります。
主な理由は、ふくらはぎの筋肉量の少なさ、月経・妊娠の存在が挙げられます。月経前には黄体ホルモンの分泌量が増加し、余分な水分が体内に溜まりやすくなります。また妊娠中は、出産時の出血に備えて、体内の水分量を余分に蓄える必要があるためです。

高齢者に多い足のむくみ

ご高齢の方も、実は足がむくみやすい傾向にあります。
主な理由としては、ふくらはぎの筋力低下、高血圧・動脈硬化、座りっぱなしの習慣、運動不足などが挙げられます。また、高血圧に対して使用するカルシウムチャネル拮抗薬やα遮断薬、炎症を抑えるステロイドの副作用として、むくみが出るということもあります。

足のむくみ症状の
チェックリスト

以下の12項目のうち、4つ以上に当てはまる場合には、何らかの疾患の症状としてむくみが現れている可能性があります。特に7つ以上に該当したという場合には、できるだけ早く当院にご相談ください。

足のむくみ症状のチェックリスト
  1. 手や足が冷えている、夏でも冷たい
  2. 肩こり、首のこりがある
  3. 頭痛持ち
  4. 疲れやすい、倦怠感がある
  5. めまい、立ちくらみがよく起こる
  6. 足のしびれを感じることがある
  7. 足がむくみ、重い感じがすることがある
  8. 身体の一部が突然腫れるように大きくなったことがある
  9. むくみが現れては消えることを繰り返している
  10. 頻尿ぎみ、トイレに行く回数が増えた
  11. 時々、喘息のような息苦しさを感じる
  12. 病気でもないのに腹痛や下痢、嘔吐を起こしたことがある

危険な足のむくみの症状

危険な足のむくみの症状

背景に病気が隠れている可能性のある危険なむくみには、以下のような特徴があります。

  • むくんだところを指で押し、離した時にすぐに元に戻らない(しばらくへこんでいる)
  • 片足にだけむくみが出ている、両足がむくんでいるが明らかな左右差がある
  • むくみを繰り返しており、数日間で数kgの体重の増減がある
  • 太もも、ふくらはぎの血管が浮き上がっている、ボコボコしてきた
  • むくみに加え、息切れ、倦怠感、疲労感などの症状が続いている
  • 尿の量が減った、尿の色が濃い

慢性的に足がむくむ原因

心臓の病気

狭心症・心筋梗塞・心臓弁膜症・心筋症・不整脈・動脈硬化・高血圧などの病気を原因として心不全の状態になると、全身の血流、特に下肢の血流が悪くなり、足にむくみが生じます。

肝臓・腎臓の病気

血液中に存在するアルブミンというタンパク質は、血管内の水分を保持し、浸透圧を調整する重要な役割を担っています。
肝臓や腎臓の病気によりアルブミンの産生が低下したり、尿中に排泄される量が増えたりすると、血液中のアルブミン濃度が低下し、血管内の水分が組織へ漏れ出しやすくなり、むくみ(浮腫)が生じることがあります。

リンパ浮腫

血管と共に全身を巡る「リンパ管」には、リンパ液が流れています。がんの手術でリンパ節を切除したり、放射線治療でリンパ節やリンパ管が損傷すると、リンパ液の流れが滞り、四肢に溜まることで手足のむくみが生じることがあります。これをリンパ浮腫と言います。ただし、原因を特定できないリンパ浮腫も少なくありません。

下肢静脈瘤

足の静脈には、血液の逆流を防ぐための弁が備わっています。この弁が機能不全を起こし、血液が逆流して足にたまると、むくみの原因となります。下肢静脈瘤では、静脈が拡張し、ボコボコと浮き出たり、蜘蛛の巣状に見えたりすることがあり、その見た目に悩まれる方も少なくありません。

深部静脈血栓症

バスや飛行機などで長時間同じ姿勢を続けると、足の静脈に血栓が生じることがあります。この血栓が血流を妨げ、心臓や肺に戻りづらくなることで、足のむくみや痛みが生じることがあります。これをエコノミークラス症候群と呼ぶこともあります。予防のためには、小まめに水分を摂ることや、座ったままでもかかとを上げ下げする運動を行うことが有効です。また、この状態は長時間動けない方や寝たきりの方にも起こりやすいため、注意が必要です。

病気以外で足がむくむ原因

病気以外でも、以下のような原因によって、足がむくむことがあります。ただし、病気でないからといって放置したために、健康を害することもあります。むくみは身体からの異常のサインと考え、できる限り改善しましょう。

長時間の同じ姿勢

長時間の立ちっぱなし、座りっぱなし、デスクワークなどは、ふくらはぎを動かさないため、そのポンプ機能がうまく働かない原因となり、足のむくみを引き起こします。

運動不足・加齢・無理な
ダイエットによる筋力低下

運動不足、加齢、食事を抜く等の無理なダイエットでふくらはぎの筋力が低下すると、そのポンプ機能が十分に働かず、足のむくみの原因となります。

塩分の摂り過ぎ

塩分には、水分を抱え込む性質があります。食事から摂り過ぎると、水分の排出が滞り、むくみの原因となります。

ビタミン・ミネラル・
タンパク質の不足

ビタミンB1、カリウム・カルシウム・マグネシウムといったミネラルや、タンパク質の不足も、むくみの原因の1つになります。

お酒の飲み過ぎ

アルコールには利尿作用があり、飲み過ぎると体内の水分が排出されることで血管内脱水が起こり、血液の濃度が高くなります。すると、身体はこれを補おうとして、組織から血管内へ水分を引き戻そうとするため、結果的にむくみが生じることがあります。

足の冷え

足の冷えが原因で血行が悪化すると、血液やリンパ液が足に滞り、むくみが生じやすくなります。足の冷えは特に冬の季節や長時間座っているときに悪化し、血液循環が悪くなることで、足の先やふくらはぎにむくみや重だるさを感じることがあります。

月経・妊娠

月経前や妊娠中は、ホルモンバランスの変化によって、むくみが生じやすくなります。

エアコンの効いた室内での
生活

今や家庭や職場、学校で当たり前になったエアコンの使用ですが、毎日長時間そのような空間で生活していると、自律神経のバランスが崩れることがあります。その症状の1つとして、代謝が低下し、むくみが引き起こされることがあります。

足のむくみの治し方

原因疾患が見つかった場合には、その疾患を治療することで、むくみの改善が期待できます。たとえば、深部静脈血栓症であれば抗凝固薬を使用します。リンパ浮腫や下肢静脈瘤に対しては、弾性ストッキングを用いた圧迫療法も有効になります。原因が生活習慣の乱れにある場合には、その見直しによって、むくみの改善が期待できます。

むくみを解消する生活習慣

むくみの原因が生活習慣の乱れにある場合には、その改善を図ります。生活習慣を改善してもむくみが摂れない場合、病気が原因になっている疑いが強くなりますので、お早目にご相談ください。

同じ姿勢を続けない・体操を挟む

立ちっぱなし・座りっぱなしは、むくみの原因になります。姿勢を変える、歩く、ストレッチをするなどして、特にふくらはぎの筋肉を刺激してあげてください。
バスや飛行機などあまり立ち歩けない乗り物に長く乗る時には、かかとを上げる運動、小まめな水分摂取がおすすめです。

適度な運動・筋力アップ

ウォーキング、ジョギング、水泳など、日ごろから適度な運動をしましょう。適度な運動は、全身の血行を促進してくれます。ふくらはぎの筋肉を鍛えるトレーニングもおすすめです。

塩分・アルコールの摂り過ぎを控える

どちらもむくみの原因となります。摂り過ぎには注意しましょう。特に高血圧のある方は、1日あたりの塩分摂取量を6g未満に抑えます。

ビタミン・ミネラル・
タンパク質を意識して摂る

ビタミン・ミネラル・タンパク質を意識して摂るこれらが不足するとむくみの原因になります。ビタミンB1やカリウム・カルシウム・マグネシウムといったミネラルや、タンパク質を、意識して摂取しましょう。

身体を冷やさない

身体、特に足を冷やさないようにしましょう。適度な運動、入浴習慣(湯船に浸かる)、足浴(足湯)などがおすすめです。

身体を締め付ける服装を
避ける

きついブラジャー、ガードルをはじめとする身体を締め付ける服は、血流を妨げます。きつい靴下も注意が必要です。できるだけ避けるようにしましょう。

足のむくみは放置せずに、
ご相談ください

このページでご紹介した通り、足のむくみは心疾患や肝臓・腎臓の病気、下肢静脈瘤、リンパ浮腫、深部静脈血栓症など、さまざまな病気を原因として現れます。また、原因が病気ではなく生活習慣の乱れにある場合も、放置していると生活習慣病などの病気を引き起こすことがあります。病的なむくみじゃないから大丈夫、というわけではありません。足のむくみが気になるという方は、ぜひ一度当院にご相談ください。