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不整脈

不整脈とは?

不整脈とは?不整脈とは、脈が速くなる・遅くなる・不規則に打つといった状態の総称です。心臓の筋肉(心筋)は、電気信号によって規則的に収縮と弛緩を繰り返し、全身へ適切に血液を送り出しています。しかし、何らかの原因で電気信号が乱れると、心臓の拍動が変化し、不整脈として現れます。問題のない不整脈もありますが、その場合でも経過観察が重要です。一方で、早急な治療が必要な不整脈も存在します。健康診断などで不整脈を指摘された場合は、その原因を詳しく調べ、治療の必要性を判断することが大切です。気になる症状がある方は、当院までご相談ください。

不整脈の種類

不整脈は、大きく以下の3つに分類されます。

  1. 脈が速くなるタイプ(頻脈性不整脈)
  2. 脈が遅くなるタイプ(徐脈性不整脈)
  3. 脈が不規則になるタイプ(期外収縮や心房細動など)

通常、成人の脈拍は1分間に60~100回程度で、規則正しいリズムを刻んでいます。ただし、個人差があるため、多少の違いがあっても過度に心配する必要はありません。大切なのは、ご自身の普段の脈拍(安静時)を把握しておくことです。日常的に脈拍をチェックし、大きな変化があった場合には、早めの受診につなげましょう。

頻脈性不整脈

脈が速くなるタイプの不整脈で、1分間の脈拍が100回以上の場合に「頻脈」と診断されます。運動や強い緊張などで一時的に脈拍が速くなることは正常な反応ですが、1分間に140回以上の頻脈が続く場合は危険な状態です。すぐに医療機関を受診してください。

徐脈性不整脈

脈が遅くなるタイプの不整脈で、1分間の脈拍が50回未満の場合に「徐脈」と診断されます。特に1分間の脈拍が40回程度しかない場合は、危険な状態となることがあるため、すぐに受診してください。

期外収縮や心房細動など

脈が飛ぶ、リズムが乱れるといった「不規則な脈」が特徴の不整脈です。多くの場合は命に関わるものではありませんが、心房細動などの一部の不整脈は脳梗塞や心不全の原因になることがあります。そのため、自己判断せず、循環器内科で正確な診断を受けることが大切です。

不整脈の症状と見分け方

不整脈の症状チェック

不整脈の症状チェック頻脈では、動悸や胸の不快感が生じることがあります。徐脈では、疲労感や息苦しさ、めまい、ふらつき、意識が遠のくといった症状が現れることがあります。どちらのタイプも、重症になると失神や突然死を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

動悸がした時の見分け方

心臓のドキドキが強く感じられたり、不快感・違和感を伴う「動悸」が起こると、不安になりますよね。動悸が起こった際には、以下のポイントを確認すると、原因を判断しやすくなります。

  1. 動悸のタイプ(速いのか・強いか/一時的か・持続的か)
  2. 脈のリズム(一定か、不規則に飛ぶことがあるか)
  3. 1分間の脈拍数(安静時の脈拍を測る)
  4. その他の症状(めまい、息苦しさ、意識が遠のく漢字があるか)

これらの情報を記録し、症状が続く場合や気になる場合は、早めに当院にご相談ください。

すぐに受診が必要なケース

  • 気が遠くなった、一瞬でも意識を失った場合
  • 脈拍数が1分あたり120回以上である場合
  • 動悸とともに胸の痛み・圧迫感がある場合
  • 心疾患の持病がある場合
  • 突然死をした血縁者がいる場合

すぐに受診が必要ではないケース

  • 脈が速い、遅い、飛ぶなどの不整脈があるが、動悸以外の症状がない場合
  • 心配いらない不整脈だと医師から診断を受けており、同じような症状が現れた場合
  • 一瞬胸がギュッとなったが、その後は何も感じない場合
  • 時々脈が飛ぶ程度である場合
  • 運動、緊張などで起こる一時的な動悸である場合

ただし、まだ循環器内科などで不整脈の診察を受けたことがない場合は、上記のような症状がある場合でも、一度当院にご相談ください。

不整脈の原因と危険性

不整脈の原因とは?

不整脈の原因は、生活習慣の乱れ、心臓疾患、その他の疾患に分類できます。

生活習慣の乱れ

  • 喫煙習慣
  • お酒の飲み過ぎ
  • カフェインの摂り過ぎ
  • ストレス
  • 睡眠不足
  • 運動不足
  • 肥満 など

心臓疾患

  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 心臓弁膜症
  • 心筋症
  • 先天性心疾患
  • 心不全 など

その他の疾患

  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD) など

不整脈になりやすい人の特徴

先述の通り、不整脈の発症には生活習慣の乱れや生活習慣病が深く関係しています。そのため、以下のような生活習慣のある方は、不整脈を起こしやすい傾向があります。

不整脈になりやすい人の特徴
  • 喫煙習慣がある
  • アルコールを頻繁に摂取する
  • コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどのカフェインを多く含む飲料をよく飲む
  • ストレスが溜まりやすい
  • 睡眠不足や生活が不規則になりがち
  • 運動不足がつづいている
  • 肥満傾向がある

不整脈で突然死を
引き起こすことも?

頻脈の中でも、意識を失ったり、突然死につながる可能性のあるものを「致死性不整脈」と呼びます。その名のとおり、命に関わる危険な不整脈です。
致死性不整脈は、心室頻拍、心室細動に分類されます。

心室頻拍

心室が異常な電気信号によって非常に速いペースで収縮し、適切に血液を送り出せなくなる状態です。意識を失ったり、放置すると心室細動へ移行することがあります。

心室細動

心室がバラバラに震えるように動き、ポンプ機能を完全に失った状態です。放置すると数分以内に心停止に至るため、直ちに電気ショック(除細動)が必要となります。

また、その他に重症の徐脈でも、失神や突然死を起こすことがあります。

ストレスが原因の
不整脈について

ストレスが原因の不整脈について不整脈は、ストレスを原因として起こることがあります。不整脈の診断では原因を特定できないことも少なくありません。原因となる病気が見つからない場合には、ストレス等、生活習慣の問題が影響している可能性を考えます。ストレスが不整脈を引き起こすパターンは、大きく以下の2通りが挙げられます。

精神的なストレスによる交感神経の興奮

人前に立つなどして緊張する場面で、脈が速くなったという経験は多くの方がお持ちです。これは、心臓のリズムをコントロールする交感神経が優位になり、心臓の拍動を早め、血液をたくさん送り出すためです。交感神経はストレスと密接な関係にあり、ストレスが溜まる・強いストレスを受けた時にも、交感神経が刺激され、脈拍が速まります。一時的なものであればほとんど心配はいりませんが、長期にわたってストレスによる交感神経の刺激が続くと、心臓のリズムに乱れが生じやすくなります。慢性的なストレスおよび交感神経の興奮は、免疫力の低下にもつながるため、できるだけ早く、ストレスを取り除くことが大切になります。

生活習慣の乱れによる身体的なストレス

起床・就寝時間がバラバラ、過労、睡眠不足、偏った食習慣などは、身体にストレスをかけます。このような生活習慣の乱れを原因として不整脈が引き起こされるケースも決して少なくありません。生活習慣に問題がある場合には、不整脈の治療・予防という意味でも、生活習慣を改善することが大切になります。問診・診察の際には、生活習慣・ストレスについてもお伺いし、不整脈の正確な診断・適切な治療へとつなげて参ります。

不整脈の予防と対策

不整脈になったら
やってはいけないことは?

避けるべき行為や習慣は、不整脈のタイプによって異なります。脈が速くなる 「頻脈性不整脈」 と、脈が遅くなる 「徐脈性不整脈」 では、それぞれ注意すべき点が異なります。

頻脈の場合

  • 処方されたお薬は、医師の指示通りに正しく服用 しましょう。自己判断で中断や変更をしないことが大切です。
  • ストレスを溜めすぎず、規則正しい生活リズムを保つ よう心がけましょう。睡眠不足や過労は不整脈を悪化させる原因となります。
  • アルコール、喫煙、カフェインの摂取はできるだけ控えめに しましょう。特にカフェインは脈を乱すことがあるため、摂取量に注意が必要です。
  • 生活習慣病(高血圧症・糖尿病・脂質異常症)は、不整脈のリスクを高めるため、予防と管理を徹底 しましょう。すでに診断を受けている場合は、適切な治療を継続することが重要です。
  • 心臓疾患のある方は、主治医の指示に従い、適切な治療を受ける ようにしましょう。早期の対応が合併症のリスクを減らします。

徐脈の場合

  • 徐脈を引き起こす可能性のある薬がある場合は、医師と相談しながら調整しましょう。自己判断で中止せず、必ず医師の指示を仰ぐことが大切です。
  • ペースメーカーを使用している方は、定期的に通院を欠かさず、心臓の状態やペースメーカーの状態をチェックしてもらいましょう。また、ペースメーカーの注意事項を守ることも重要です。例えば、電子レンジやIH炊飯器などの電磁波を発する機器に過度に近づかない、低周波治療を避けるなどの対策をしましょう。

普段の生活からできる予防法

不整脈の原因はさまざまですが、多くは生活習慣の乱れに関連しています。そのため、生活習慣を見直すことで、不整脈のリスクを下げることが可能です。

普段の生活からできる予防法
  • バランスの良い食事を適量摂る
  • 適度な運動を継続する(無理のない範囲でウォーキングやストレッチなど)
  • 十分な睡眠を確保する(睡眠不足や夜更かしを避ける)
  • ストレスを適切に管理する(趣味やリラックスできる時間を大切に)
  • 規則正しい生活リズムを整える

また、すでに生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症)や心疾患の診断を受けている方は、適切な治療を継続することが重要です。日々の積み重ねが、不整脈の予防や症状の改善につながります。

不整脈の診断と検査方法

主に以下のような検査を行い、診断します。

心電図検査

院内で行う一般的な心電図検査です。ただし、この検査の時に不整脈が必ず現れるわけではありません。もし検査時に不整脈が確認できない場合や、引き続き不整脈の疑いがある場合には、24時間ホルター心電図検査を行い、より詳細に心電図を記録します。

24時間ホルター心電図検査

小型の心電計を装着していただき、普段通りに生活し、24時間の心電図を記録します。不整脈の回数、危険性の有無、症状の関連性、どのような時に不整脈が出ているかといったことを知ることができます。その他、不整脈の頻度が低い場合には、携帯型心電計(自費で2万円程度)やスマートウォッチを活用する方法もあります。これらのデバイスを使用して、症状が出た時に心電図を記録し、そのデータを拝見して診断するということも可能です。

胸部レントゲン検査・
心臓エコー検査
(心臓超音波検査)

不整脈の原因となる心臓の病気を発見するため、胸部レントゲン検査、心臓エコー検査などを行います。

運動負荷心電図検査

院内で運動をしながら心電図を記録する検査は、運動負荷心電図と呼ばれます。この検査では、運動時に心電図を取りながら、不整脈が発生するか、または狭心症の症状が現れるかどうかを調べます。運動によって心臓に負担をかけることで、普段の状態では見逃されがちな心臓の異常を発見するのに非常に役立ちます。

不整脈の治療と管理方法

不整脈の治療では、薬物療法、カテーテルアブレーション、ペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)の使用があります。症状や状態に応じて適切な治療を選択します。カテーテルアブレーション、ペースメーカー治療や植え込み型除細動器(ICD)治療が必要となった場合は、提携する基幹病院をご紹介します。

薬物療法

薬物療法不整脈の治療では、脈拍を整え、リズムを正常化する抗不整脈薬を使用します。甲状腺機能異常や貧血など、他の内科的な疾患が原因で不整脈が悪化している場合、これらの基礎疾患の治療を優先することで、不整脈が改善することがあります。

カテーテルアブレーション(経皮的カテーテル
心筋焼灼術)

不整脈が発生する異常な回路を、カテーテルを使って焼灼や冷却凝固で治療します。薬物療法で効果が不十分な場合に選択されます。

ペースメーカー・植え込み型除細動器(ICD)の使用

徐脈や失神などの症状を伴う不整脈には、ペースメーカーの植え込みを検討します。ペースメーカーは、電気刺激を与えることで心拍のリズムを正常に保ちます。一方、心室細動や心室頻拍など突然死のリスクがある頻脈に対しては、植え込み型除細動器(ICD)が有効です。ICDは、不整脈を早期に感知して治療を行い、電気刺激を与えることで突然死を防ぎます。